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2016.11.05
制度論として理論的に頭で考えたことはほぼ実証されると思っています。
そのため司法改革の末路についても「やはり。」「だから、言ったじゃない。」といった心境です。
しかし、もしかしたら、実際の場面では、理論的に頭で考えたこととは違う事実が出てくるかもしれないということは常に意識しています。
当然のことながら、私は、法科大学院に入学したことがありません。
そこで、実際の法科大学院制度には、私達が想像もつかないような、すなわち、理論的に考え得る悪弊を凌駕する良い側面もあるかもしれないと思い、新司法試験組で少し親しくなった弁護士には「法科大学院でどんなところが良かったと思いますか。」ということを聞くようにしています。
そして、それに対する答えが
「一緒に勉強する良い友達ができたから良かった。」
「楽しかったから。」
「法科大学院がなかったら、どのように司法試験の勉強をしたらよいかわからなかった。仲間ができて、情報交換ができ、一緒に勉強できたから合格できた。」
との答えがほとんどでした。
上記以外の答えとしては、多くはありませんが、
「法科大学院の授業で一部良いものもあった。」
といった微妙なものもありました。
法科大学院の授業をほめた人の意見で最も興味深かったのは、法科大学院の授業がおしなべて良いとの評価をした人は一人もいなかったことです。
おおむね否定的ではあるが、例外的に良い授業をする教員もいたといった程度の評価で、比較的評判が良いのは、実務家教員の授業のようでした。
黒猫さんのブログにも指摘されていたと思いますが、法科大学院の良い部分がこの程度の意見にとどまっているようでは、法科大学院の存在意義自体が大きいとは言えないように思います。
そして、法科大学院の存在意義を最も認めていないのは、我々反司法改革の人たちというよりも、むしろ法科大学院制度関係者なのではないかと思っています。
というのは、法科大学院関係者は、「法科大学院入学者を増やすためには司法試験合格者を増やさなければならない。」「法科大学院入学者を増やすためには、予備試験制度を廃止しなければならない。」「法科大学院入学者数を増やすためには、法科大学院j修了を司法試験受験要件から外してはならない。」と言われるからです。
本当に法科大学院の存在意義があるというのであれば、司法試験の受験資格要件から外しても法科大学院制度が崩壊することはないでしょうし、予備試験の合格者数を制限しなくても法科大学院は生き残るでしょう。
もっと言えば、法科大学院の存在意義があり、法科大学院の教育が素晴らしければ、司法試験合格者数を減らしても法科大学院に入学する人が減ることはないでしょう。
もっとご自身の信念に自信を持って戴いたらよいのではないかと思っています。
ただ、某旧国立の法科大学院の教授は、「我々は泥船と知りつつ泥船に乗りつづけなければならない。それ本当に辛い。」と率直な心情を私に自嘲気味に吐露してくれました。
私がどのような考えの人間かを知ったうえでのご発言でしたので、よほど末期的症状になっているように拝察され、同情してしまった次第です。