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2016.11.27
先日のブログで「若手は生活が苦しい、今弁護士になっても食えないというような話が当たり前のように語られますよね。それは大変だと当の若手に聞き取り調査をしても、僕の周りには、そんな弁護士はいませんという返答ばかりなんですよ(笑)。厳しい現実は否定しませんが、ネガティブ情報だけが拡大されて独り歩きしています。」との前日弁連会長の発言を引用しました。
果たして、日弁連執行部が本当に、誠実に「聞き取り調査」をした結果、生活に困った弁護士の情報等が入ってこなかったというのでしょうか。
一体全体どこで誰からの聞き取り調査をしたというのでしょうか。
まさか日弁連主催の高い会費を徴収する懇親会等で若手弁護士と話をする程度などではないでしょうが・・・。
例えば、年に1度開かれる人権大会等いった日弁連主催の懇親会は、立食でも1万円から1万5000円程度徴収されます。私も参加することはありますが、参加者は、中堅以上の弁護士が大半を占め、若手弁護士の割合はきわめて少ないように拝察されます。実際には、弁護士の過半数が8年以下の若手弁護士で占められているにもかかわらず、このような懇親会に参加する若手弁護士の割合は、感覚的には1割にも満たないといった程度です。
逆に言えば、このような高額の懇親会に参加できる若手弁護士は経済的には非常に恵まれた方に限られます。このような場所で参加できる若手弁護士から聞き取り調査をしても非常に偏った情報しか入らないので意味がありません。
とは言え、何も努力しなくとも執行部には会員には入ってこないような様々な情報が入ってくるはずです。
統計に限らず、我々の耳には様々な情報が入ってきます。
普通の弁護士にも入ってくる情報が執行部に入ってこないはずはないと思います。
もし、本当に様々な情報が入ってこないとしたら、それ自体がきわめて問題視されねばならないことだと思います。
風通しが悪いにもほどがあるでしょう。
弁護士の経済的な基盤沈下といった事実が存在しないとしたら、様々な統計結果が説明不可能となるからです。
弁護士に関する統計結果を冷静に分析すれば、おのずと弁護士の経済的基盤の低下の状況を否定することはできないでしょう。
前会長も「厳しい現実は否定しませんが」と指摘されています。
もし、このような弁護士の経済的問題について情報が入ってこないのであれば、統計等結果を裏付ける事実の真摯な調査・検証が必要になります。統計結果についての分析をし直す必要も出てくるでしょう。
仮に、実際には、経済的に大変な若手弁護士の情報が入っているにもかかわらず、あたかも「聞き取り調査の結果、そんな若手は存在しない」などといった喧伝をしたとしたら、それは嘘の情報を流したことになりますし、仮に、本当に知らなかったとしたら、あまりにも情報収集力の無さを露呈したことになると思います。
どちらにしても日弁連執行部の体制には問題があると指摘せざるを得ないと思います。