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元弁護士からのお便り

2017.10.20

 

先日、元弁護士の方からお手紙を頂戴しました。
そこには、司法制度崩壊の実状を悲観して、「5年前に弁護士登録を抹消した」こと及び「武本先生には今後とも是非正論を吐き続けてほしい。」「頑張ってください。」等激励の言葉が綴られていました。

私は見知らぬ方から激励されたことがとてもうれしくて、手紙に書いてある携帯電話の番号に御礼のご連絡をせずにはいられませんでした。

その方にご承諾戴きましたので、その時の電話の内容を以下にご紹介させて戴きます。

お電話で伺ったところによると、その方は、もし、今も弁護士登録をしておられたら、20年前後の経験を積むことになったであろう、いわゆる中堅弁護士の方で、「現役当時は、四国の某弁護士会に所属していた」とのことでした。
その方曰く、「弁護士登録を抹消した時は、まだ赤字経営にはなっておらず、売上もあった。でも、独立した当初と比較して年々売上の減少傾向が続いており、このまま続けていては、じり貧状態になることは目に見えていた」とのことでした。

司法改革の非を認めない方によれば、未だに「地方には法曹需要がある。」等とのことですし、5年前だったら、まだ何とかなる時だったのではないかという印象でした。
しかし、その方曰く「地方は、需要がもともと少ないので、すぐに飽和状態になる。」「所属弁護士会では、とっくの昔に飽和状態になっており、今では、仮に年間10人の弁護士がその単位会に登録したとしても、その年に10人くらいが登録換えや登録抹消等を余儀なくされ、結局、その単位会の弁護士数は横ばいで、近年あまり増えていない。」「昔は、一旦弁護士登録したら、その弁護士会から移動するなどということは考えられなかった。ところが、今は、需要があるところを求めてなのか、会員の出入りが非常に激しい。」とのことでした。

その方の生活があまりにも心配で、立ち入った質問かとは思ったのですが、思わず「今は何をされているのですか。生活費はどうされているのですか。」等尋ねたところ、「今は無職です。」「自分は、幸い景気の良い時代もあったので、生活費は、弁護士を辞めるまでに貯めたお金を運用して細々と生活しています。」「ちゃんと業務をしていたとしても、懲戒申立てされることも多いし、真面目にやっていたとしても懲戒されるリスクは避けられない。責任も重い。弁護士という職業には、このようなハイリスクに耐えられる魅力があるとは思えない。」とのことでした。
(つづく)

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