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検査すればよいというものではない(その1)

2020.04.09

 

新型コロナウイルスのPCR検査が注目されていますが、今回は検査についての基礎的な事項から、検査はすればよいものではないということをお話しします。
 詳細は、後述しますが、そもそもPCR検査の精度は高く99%正確であるとしても、1%の誤差が出てしまいます。そのため、1憶2000万人全員を検査すれば、100分の1、すなわち、120万人の人がコロナウィルス罹患してもいないのに、感染したものとみなされてしまいます。
 実際にコロナウィルスに罹患した患者が1万人いたとします。
しかし、120万人もの偽陽性(実際には感染していないのに間違って陽性と診断される方)が病院を占拠すれば、完全に医療崩壊をきたし、実際に罹患したⅠ万人のコロナ患者が入院する場所がなくなります。
本当に必要な人が必要な治療を受けられない悲劇が起きてしまうのです。
 マスコミは、「何故国民全員に検査しないのだ」と鼻息荒く叫んでいますが、検査すればよいものではないというのもまた事実です。
 今朝のワイドショーでお笑いタレントTさんが、「風のような症状が出てもまずはコロナを疑って検査しよう」と言っていましたが、確率の問題として、全国で数千人しか出ていないコロナ罹患を疑うよりかは、まずは、風邪や花粉症を疑うべきだと思います。皆が検査検査と病院を占拠し、医師や看護師を疲弊させることの弊害をこそ懸念して戴きたいと思います。体調の具合悪さの度合いにより、躊躇せずに病院に行って戴くことを思いとどまる必要がないのはもちろんのことです。

 以下、繰り返しになりますが、検査すればよいというわけでないことについて詳述します。

1.「感度」と「特異度」
 検査の精度は、「感度」と「特異度」で表されます。
 「感度」とは、病気がある場合に、その検査で正しく病気と検出される割合のことです。新型コロナウイルスで言えば、新型コロナウイルスに感染している人がPCR検査でも新型コロナ陽性と出る割合のことになります。
 「特異度」は、病気がない場合に、その検査で正しく病気ではないと検出される割合のことです。新型コロナウイルスで言えば、新型コロナウイルスに感染していない人がPCR検査でも新型コロナ陰性と出る割合のことになります。

2.PCR検査の「感度」と「特異度」
 PCR検査の感度は、検査する人の熟練度によって変わるといわれています。下手な人がやれば40%、うまい人がやれば70%だそうです。ここでは、最も良い値の70%と仮定します。これは、感度については、PCR検査はあまり精度の高い検査ではないということです。
 PCR検査の特異度は99%、あるいはそれ以上ともいわれています。ここでは、99%とします。これは、特異度については、PCR検査はちょっとないぐらい精度の高い検査だということです。

(続く)

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