日弁連会長選挙公聴会で及川候補の西口竜司弁護士の応援演説が素晴らしいので転載します。

１　はじめに
　近畿地区の会員の皆様こんにちは。また、本日はお寒い中ありがとうございます。私は、兵庫県弁護士会所属の60期の西口竜司と申します。本日は、及川さんの応援演説をさせて頂きたいと思います。
　私は受験予備校で講師を長年させて頂いております。最近、弁護士をされているかつての生徒さんから漏れてくる言葉があります。「先生、法曹になったのに、経営基盤が安定せず苦しい、もう辞めてしまいたい」という言葉です。
しかし、これが今の法曹界の現実です。今まで日弁連は、これまで「司法改革は大成功だった」ということを述べられてきました。本当なんでしょうか。
私は、法曹教育の最前線にいる立場からみて、事実ではないとの思いから、「変えよう」という及川さんのご意見に共鳴し、今回応援演説をさせて頂くことになりました。
　
２　ビッグボスの必要性
　今プロ野球の世界では、ビッグボスこと新庄さんが日本ハムファイターズの監督に就任したことで注目が集まっています。ビックボスの出現は、閉塞感が漂っていたプロ野球界に一縷の光が差すような瞬間でした。
法曹界に目を移せばどうでしょうか。平均所得の減少、一般民事事件のレッドオーシャン化、激しい価格競争、DXの浸透等、法曹界にとって厳しい逆風が吹き荒れています。
　今まで通りの考え方では、法曹界は斜陽産業になってしまう恐れがあります。
私の経験をお話しさせて頂きます。ある有名私立大学の法学部1年生向けの講演会に呼ばれました。10年前に呼ばれたときは、法曹志望者数は会場に来ていた学生の２０％程度でした。ところが、3年前に伺った際は、３％しかいませんでした。理由を聞いてみると、驚くことに「弁護士になっても仕事がないでしょ」と言われました。中には「弁護士になりたいけど、親に反対された」という声も出ました。
　こんな厳しい時代に望まれる会長はどのような方でしょうか。変えられる人、法曹界のビッグボスです。及川さんは、51期という若さ、経歴や人柄全ての点において他の候補の方とは異色の存在です。この法曹界を取り巻く閉塞感を打破してくれる方は、会員の声なき声を丁寧に聞き取り、そして、具体的な政策という形で提言をしてきた及川さんしかいません。法曹界のビックボスとして、及川さんを日弁連に送り出しましょう。何とかなります。

３　政策について
　及川さんの政策については、既にご存じのことかと思います。あえて詳しいことを申し上げません。
私の立場から申し上げたいことがあります。予備校講師という立場上、また、第1期法科大学院修了者として、この言葉を述べることにためらいを感じますが、法曹増員にブレーキをかけるべきだと思います。
学生の皆さんにとって弁護士は稼げない仕事であり、魅力がない状況になっています。適正な人数に調整することにより、魅力ある職業にすべきなんです。
私たちは、弁護士法の理念の下、社会正義の理念に寄与すべき存在です。
しかしながら、明日のごはんが食べられないような状態になって、なお公益的な活動ができるのでしょうか。家族の生活費を切り詰めて公益活動ができるのでしょうか。
経済学の世界には需要と供給のバランスを図るよう調整機能が働くといいますが、この時点で供給を抑え、需要とのバランスを図るべきではないでしょうか。

　当たり前のことですが、価格が下がると、連動して平均価格も下落します。これは世の常です。価格下落の被害を真っ先に受けるのは、若手会員ですよね。
経済的基盤の安定化こそが法曹界の復権のために必要ではないでしょうか。
もちろん、利用者にとっての弁護士の障壁が上がってしまい、司法弱者が救済されないのではないのかという反論もあるかとは思いますが、ここは政治力です。
法務省など国に対し、直ぐに予算の増額を求めていくべきなのです。
今まで日弁連の執行部の皆さんは、法テラス特措法をはじめ理念的な部分での働きかけはされてきました。会員の意見とは別に。
他方、会員の生活に直結する問題、例えば、法テラスや国選の報酬増額等にについて、提言はほとんどされていない状況にあります。このようなことをお願いできるのは、現場の意見に耳を傾け、そして、大規模な組織のない及川さんしかできないことではないでしょうか。

４　最後に
　最後になりましたが、会員の皆様、私の思いは伝わりましたか。日弁連は会員のために必要な組織です。会員のことを一番大事に考えて施策をすべき組織なんです。
今、日弁連を「変える」ことができるのは誰でしょうか？
そう及川さんなんです。
及川さんを日弁連の会長にしましょう。何とかなります。及川さんを宜しくお願い致します。終わります。